NullPointerException

 あの頃私たちはオタクだった。

 実は2000年代後期くらいまで私は、深夜のアニメを熱心に見るようなタイプのオタクでした。平成初期生まれの人ならわかってくれると思いますが、インターネットの普及と自分の人生の成長が並走していて、急激なオタク文化の一般化があったのです。涼宮ハルヒやボカロや東方やひぐらしやI’ve Soundや奈須きのこやkeyなどがそこら中に生々しく落ちていました。

 結局その熱は高校と共に緩やかに卒業したのですが、それから数十年経ち、またオタクと呼ばれることになりました。
 今度はなんと音楽的なオタクになっていたようです。実は自認はそうではないのですが、好きは好きなので甘んじて受け入れています。そしてこの態度自体がかなりオタクっぽいことは自認しています。

FANTASTIC NERDS ((殴←←

 アルバムを出したタイミングで、『FANTASTIC NERDS』という名を冠して全国ワンマンツアーを行い、自分達を一旦オタクとしてから、なんとなく自分達の立ち位置を俯瞰できるようになった感もあり、ユナイトを再定義できたような気がしています。
 私たちはただややこしい音楽をやる、斜に構えた難しそうな効率厨の集団ではなく、ただ音楽が好きなオタクだったのです。

 『FANTASTiC』というアルバムの評価は一般に膾炙されているかは一旦別として、割と高いのではないかと自分達では思っているのですが、そもそもあんなものをリリースできたこと自体を本当に色んな意味で誇らしく思っています。そしてワンマンツアーを経て、よりその気持ちは強くなりました。

 自分達が自由に創れる環境というのは普通、簡単には手に入りません。しかもそれは、聴いてくれる人がいればいるほど困難になっていくことすらあります。
 私たちは来年で15周年になります。様々なレイヤがありますが、たくさんの聴いてくれる人たちがありがたいことに存在していて、多くの人が今回のアルバムを受け入れてくれました。そしてワンマンライブにも足を運び、一緒の空間を作ってくれたことを経験できました。本当にありがとうございます。 

ガチガチの初日

 自由な創作の発想源は日々の生活からくるものですが、ファンの理解度と包容力が想像力に歯止めをかけることなく、むしろ拍車をかけていると思っています。今回のアルバムツアーはまさにそのような体験でした。つまり、これからの未知の作品群に対しても、あなたは確実に影響を与えていると思うのです。
 あえて言いますが私たちの自由さは元々持っていた才能の部分も大いにあります。ですが、それを見出して受け止めてくれる人が居なければ、だだの虚無だったでしょう。実にしてくれたのはあなたを含めた”私たち”です。

沖縄打ち上げ会。お金を取ってカラオケをする集団となぜかいる後藤くん。

 全国各地で待ってくれていたファンのみなさま。本当にいつもありがとうございます(大阪、神戸がまだですが……………………)。
 あなたのおかげで私は莎奈という才能を演出することができています。多分あなたは莎奈やユナイトを通して様々な感情に触れていると思います。それがあなた自身の才能であり、私の原因でもあります。お互いにそれを誇らしくいましょう。