先日リリースされました『[about us] / 灰色の心象へ胡乱の詩に軽い音』聴いていただけているでしょうか。私は『灰色の心象へ胡乱の詩に軽い音』の作詞作曲をいたしました。タイトルが長くて打つのが面倒です。
6月21日から始まる『シニカルアバウト』というワンマンツアーにかけまして、表題曲を”シニカル”曲と、”アバウト”曲で分けてみました。私は例に漏れず”シニカル”担当です。私は完全に見くびっているので解説をしますと”詩に軽”でシニカルとなっております。
『灰色〜』はタイトルからして鬱陶しい雰囲気ですが、サビもあるので普通に聴ける曲になっていると思います。
気に入ってるポイントは弦楽器隊の全弦解放とBメロのB♭7 / E♭aug / Dm11というキモすぎるコード進行と1サビ後のbreakcore風のところと回文です。
歌詞は自分的には意味を含んでいたり、意味から離れたかったこともあったりと、誰にもわからなくてもいいというタイプの歌詞です(全部そうっちゃそうですが)。インタビューを読んでくれた方に、もしかしたら考察へのアンチテーゼ曲だと思われているかもしれませんが、別に考察それ自体が嫌いというわけではなくて、ただ単にこじつけのようなものと、考察によって作品が解き明かされるという価値観、もっというと世界観があまり好きじゃないだけです。純文学をミステリのように読むのに違和感があるのと同じです。
この曲を作るよりもずっと前から少し考えていたことですが、このシーンで仕事を(ちゃんと)するなら、自分の音楽性の特異性をもっと表現できるようになったほうがいいなと、ここ最近はさらに強く思うようになっていて、この曲もそういった部分を意識したものになりました。
私は雑にざっくり言うと”新しめの音があるサブカルっぽいジャンルの音楽”が好きで、常に既存の音楽の枠組みを乗り越えていくような人たちを探しているんですが、そういう人たちへのリスペクトと感謝と圧倒的な敗北感をもって、こちらの(V系っぽいところ)シーンに落とし込むことが、シーンの中での私の一応の仕事だと思っています(今の所)。
まあだからと言って良い音楽を作れるとは限らないというか、むしろ”良い悪い”に全く関係ない話なんですが、それでも何年もやっていて曲の方程式が同じで常に”良い曲”ばかりを作る人にはあまりなりたいと思わないので、なるべく自分の中で自分を壊しつつ、”新しさ”に呪われながら曲を作る方が向いていると思っています。というかそういう人が私は好きなのです。
今回の新譜『[about us] / 灰色の心象へ胡乱の詩に軽い音』はとても気に入っていてわりと自慢したい音源になった上、これでツアーを回れることにすごく喜びを感じています。そして実は作曲よりもドラムのほうが恐らく才能がありまして、そちらのほうも披露させていただいておりますので、未だ見たことないという方や興味のある方は是非ご覧になってください。